こーじが選ぶ、2010年~2012年に観た映画 私的ベスト20!

こーじが選ぶ、2014年に観た映画 私的ベスト10!」「こーじが選ぶ、2013年に観た映画 私的ベスト10!」からさらに遡り、2010年から2012年の間に観た映画の私的ベスト20をまとめてみました! この期間のレビューはどれがいつ書いたものかはっきり分からなくなっちゃったし、300本以上の中からなので、まとめて20本を選び出しました。各レビューは「140文字映画レビュー」という名前の超短文型映画レビューブログに掲載したものに、それぞれコメントを追加しています。

  • 2010年から2012年の間に公開された映画ではなく、僕がこの期間に観た映画です。ほとんどはDVDまたはBlu-rayでの自宅鑑賞です。(各タイトルの右にあるのが公開年)
  • いい映画ベスト20というよりは、好きな映画ベスト20です。
  • それぞれ上部の太字部分が「140文字映画レビュー」からの転載。下部は今回加筆したコメントです。
  • ★は5つ星での評価です。詳細はこちらを参照してください。

それではレッツ スタート!!








長江哀歌(2006年)』
★★★★
強いコントラストと滲んだピントが作る重い質感。安定感と視点の定まらない不安定さを併せ持ちながら、ゆっくりと動くカメラワーク。時間の流れの違う別世界に迷い込んだかのような映像が夢のように思い出のように目眩のように心に染み付く。話は退屈。

話ははっきり言ってつまらないw 何かが起こるわけじゃないし、何が言いたいのかわからないし、全っ然面白くないw なのに、全てのシーンが思い出せるくらい、眩しさと重苦しさを併せ持った映像が脳裏に染み付いている。グラグラするドキュメンタリー風映像や細かいカット割りとは一線を画す、どっしりと落ち着いたカメラワーク。それでいて視線の定まらない浮遊感。この映像感覚はあまりに印象的だった。






フェノミナン(1996年)』
★★★★
ジョージと周りの人々との温かい愛の物語。脳味噌覚醒や念力の無茶設定は気にしちゃ駄目。いわゆる傑作ではないけど、きゅんとなる場面や台詞は多い。笑顔とユーモアと抑え気味な涙の組み合わせには弱いのだ。映像と音楽とトラボルタがGOOD。

普通のおっさんとしてのジョン・トラボルタの魅力が全開。あとフォレスト・ウィテカーがめっちゃいい! 涙をこらえる演技なんて、もう最高! そしてもちろん劇中歌の「Change the World」がどうしようもなく沁みまくる。話は意外にもSF的というか、とんでも話的ではあるんだけど、そこは置いといて、ヒューマンドラマとして楽しもう!






バーレスク(2010年)』
★★★★
ミュージカル映画ではなくて、美しい映像と意外とかわいいアギレラとアギレラ&シェールの素晴らしいパフォーマンスを楽しむ長編PV。展開はありきたりだし、細切れのカット割りで演技力を誤魔化している感もある。とか言いつつも興奮して3回観た。

今まで観たミュージカル映画で一番興奮したのがコレ。アギレラが可愛いからでもエロいからでもなくて、とにかくかっこいいから興奮した。興奮しまくって連続3回観ちゃった。まぁ、ミュージカル映画と言っていいのか微妙な気はしなくもないけどね。






シックス・センス(1999年)』
★★★★
全てが判明する、「指輪が転がった瞬間の衝撃」には背筋が震えた。最初に「秘密がある」とわざわざ念を押す自信が憎い。最後には全員が救われることで、単なるホラーでない良作となっている。こりゃ、その後のシャマランが辛いわけだなぁ。

言わずと知れた大どんでん返し映画の王様。指輪が転がった瞬間の衝撃は今でもはっきりと思い出せる。とはいえ、この映画の凄いところは、例えその大どんでんがなかったとしても、充分映画として魅せる力があるところ。この手の映画でこれを超えるのはもう無理かもしれないなぁ。






グエムル-漢江の怪物-(2006年)』
★★★★
少しも勿体ぶることなく、物語り序盤の真っ昼間から怪物が暴れまくって、実に痛快。突っ込みどころ満載だし、よく考えると怪物のCG以外はたいしてコストもかかっていないようなのに、このパワーは素晴らしい。見習うべし。

怪物を少しずつ見せるなんてせこいことは言わずに、序盤からバンバン出して勢いで突っ走る爽快感に感動した。これはある意味新しい怪獣映画の形を生み出したと思う。悔しいのはこういう気持ちのいい怪獣映画が日本から出なかったことだなぁ。






第9地区(2009年)』
★★★★★
ギャグ漫画だったキン肉マンがいつしか友情巨編に変わったように、B級SFから作風を変化させつつどんどん盛り上がる。理屈を超えた勢いが素晴らしい! ラストの余韻も良し。気持ち悪くなるから苦手なドキュメンタリー風グラグラ手持ち撮影も許す!

これも最初っから「普通に」出まくる宇宙人のインパクトが大。しかも人間に支配されちゃってるしw 漫画だと長い連載のうちにどんどん作風が変わっていくのって珍しいことじゃないけど、2時間の間にシュールなギャグからSF戦闘物へと変化しつつ、最後はまさかの愛の物語ときたもんだw さすがにちゃんとストーリーを練ってから撮ったんだろうけど、撮っているうちにどんどん本気になっていって、「おいおい予算どうするよ」ってなやり取りがあったんじゃないかと思わせる情熱の加速感が面白い。






127時間(2010年)』
★★★★
岩に右手を挟まれた127時間。予想通り、いやそれ以上に痛くてショッキング。心臓の弱い人は見てはいけない。が、ミュージッククリップ仕立ての動かない冒険映画は、痛みを越えた生きる強さと喜びに溢れる。主人公と一緒に泣いて叫んで喜べる映画。

とにかく痛い。痛くて苦しくて痛い。それでも、1ヶ所に挟まれたままで疾走感のある冒険映画になっているのが凄いし、この痛みがあるからこそ、ラストシーンの突き抜ける喜びに心から共感できるんだろうな。生きているって素晴らしい!






サラの鍵(2010年)』
★★★★★
断続する水滴のような僅かな救いと潤し切れない耐え難い苦しみ。ナチス占領下のユダヤ人少女と現代の女性ジャーナリストの運命の交錯。目を逸らさず自分自身が第2の追体験者となるべし。胸に迫る抑えた演出と場面転換の鮮烈さが記憶に染み込ませる。

これは観ていて本当につらい映画。観れば必ずサラの苦しみ、そしてサラの苦しみを自らの中に飲み込んだジュリアの苦しみをも、自分自身も飲み込むことになるだろう。しかし、本当に涙を堪え切れないのは、その苦しみの中にかろじて瞬く救いの光、苦しみを超えた先のラストシーン。これは是非とも観るべき映画。やべ。予告編を観返したら泣けてきた。。。






ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1999年)』
★★★★
くぅー、かっくいいね。やたらと多い登場人物と複雑に絡まるストーリーを混乱なく見せる手腕も見事。悪い奴らが勝手にバタバタ倒れていくのを、神様視点というか、「志村ー、後ろ後ろ!」のノリで楽しめる。

この手の一見関係のないストーリーが綺麗に最後に収束する系のクライム・ムービーとしては、やっぱりこれが最高! とにかくかっこいいし、洒落も効いてる! オチも見事に決まっている!!






Mr.インクレディブル(2004年)』
★★★★★
スーパーヒーロー家族物としてお約束な設定や展開なのに、脚本が練り尽くされているのか、めちゃめちゃ面白い! 笑えて、かっこよくて、ほんのりホロッとさせて、娯楽アニメとして完成度高し! アニメならではの迫力映像も楽しい。

何故か日本ではあんまり知名度がないよね? ディズニーランドでも「誰これ?」的な扱いをされてる気がするw でもヒーローアニメのみならず、ヒーロー映画としてもめちゃめちゃ面白いのだ! ベイマックス効果で再注目されたらいいのにな。







きみに読む物語(2004年)』
★★★★
認知症の老婦人に、身分の違いを越えようとした若い恋人の物語を読み聞かせる老人。構図の意味は明らかだが、若さの輝きを放つ真っ直ぐな恋愛を素直に楽しめる。そして迎える切なく幸せな、永遠の愛の結末。単純なファンタジーでない重みがある。

これは素敵なラブストーリー。若さ溢れる眩しいばかりの愛と、長い時間が育んだ深い深い愛の両方を一度に堪能できる。ベタといえばベタな展開だけど、ラブストーリーなんてそれでいいと思うんだ。観て「あ~素敵ぃ♡」って夢を見れればそれでいいのだ!






インビクタス/負けざる者たち(2009年)』
★★★★★
素晴らしい。映画という作り物の域を越え、歴史を体験する感動を味わった。静かに力強く描く数多くの良心。座って観ることなど出来ない決勝戦の興奮。心を揺らす人々の笑顔。出来過ぎた美談と言わず、素直な心で感じて欲しい。

これはとにかくラグビー決勝戦の迫力が絶品! いや、もちろんストーリーも抜群にいいんだけど、歴史を体感する大きな要因は完全に作中に入り込む決勝戦の迫力! これがあればこそ、まさにその時その場にいたような錯覚を味わった。是非とも大きな画面で見て欲しい。






50回目のファースト・キス(2004年)』
★★★★
前日の記憶を残せない女性とのラブコメディ。通常なら悲しい涙を前面に押し出す題材だが、常夏のハワイの景色の中、愛される喜びや嬉しさの涙の方が印象に残る。笑いながら泣きたい時に最適。ドリューがどんどん可愛く見えてくる。

この映画がまたいいんだな。悲しいはずなのに、明るくてバカバカしくて元気になれるラブコメディ。ここまで1点の曇りもなく前向きなことに感動する! っていうか、こういうポジティブな人間になりたい! ただ一つ大きな欠点は「シックス・センス」の盛大なネタバレをしていることw 「シックス・センス」未観の人は絶対に観ちゃだめw






ビッグ・フィッシュ(2003年)』
★★★★★
ホラ話ばかりの父を理解し愛情を取り戻す過程を描く。前半の退屈でくだらないホラ話が愛すべきホラ話へと姿を変えるラストシーンが胸に沁みる。バートンのファンタジー世界が絶妙なバランスで現実世界のスパイスとなった、微笑ましい良作。

どちらかというと「なんなんだろう、この話は?」という感じで進んでいくんだけど、自然と温かい笑みが溢れて、父への思いが一気に融解するラストシーンが素晴らしい。現実世界の中にスッとファンタジーを織り交ぜる手法は宮崎駿的とも言えるのかな。あと、教室の中で恥じらうアリソン・ローマンの表情に悶えたw






おおかみこどもの雨と雪(2012年)』
★★★★★
キャラ設定や展開はステレオタイプでオーソドックス。その分、3人の心の動きと成長を染み込むようにじっくり追うことができる。出会いから幸せなはずの結末まで涙は途切れない。花、街、空、緑、雪と雨。語りかけてくる映像が美しい。

泣けた。自分の手元から巣立っていく子どもを持つ親として、なんと共感することが多かったことか。必死に育て、巣立ちを見送る親の立場としての視点はもちろん、子供に待ちうけるであろうこれからの成長の過程を想像したり、あるいは自分の思春期の苦さを思い出したりといった全てが、等身大の共感として終始涙を誘った。劇場での全身を包み込まれる激しい雨の音も印象に残っている。






ヒックとドラゴン(2010年)』
★★★★★
ドラゴンの迫力、空飛ぶ爽快感、映像の美しさ。映画ならではの興奮が満載! 大きな3Dスクリーンで観たかった。ストーリーはひ弱なナウシカといった雰囲気。少しほろ苦いハッピーエンドも悪くない。トゥースの猫のような仕草が可愛らしい。

これも日本で知名度がないのが不思議なくらい、めちゃめちゃ面白い冒険アニメ! 話もいいし、映像の迫力も凄いし、トゥースも超かわいい! それなのに、日本て、ほんとお涙頂戴要素の弱い映画には冷たいよね~。今からでも遅くないからみんな観よう!






ぼくのエリ 200歳の少女(2008年)』
★★★★★
少年と少女(?)の儚い希望の物語。二人の未来を暗示するかのような生々しい前半の描写が影を落とし続ける。バンパイア物の現実味のなさを消しきれなかったのが惜しい。プールで手を差し伸べるエリの澄んだ瞳に吸い込まれる。

とにかくひたすら血生臭い。そんな気がするんじゃなくて、間違いなく画面から血生臭さが漂ってくる。クロエちゃん版の「モールス」との大きな違いはこの血生臭さ。この血生臭さと最後のプールのシーンで手を差し伸べるエリの吸い込まれそうな瞳は、リーナ・レアンデションにしか出せないものだろう(実際「モールス」ではこのシーンはカットされている)。この2つがあるからこそ、作品全体に漂う残酷な未来への予感と、それでも最後の決意を促すリアリティが生まれたのだと思う。加えていうならば、日本版でモザイクをかけられたあのシーンも、この物語の破滅感には絶対に必要なもの(ちなみにこのシーンも「モールス」では改変されている)。決して観て気持ちのいい映画ではないけれど、お互いにすがるしかない僅かな希望と破滅感が心に強い印象を残している。






つぐない(2007年)』
★★★★★
冒頭と海岸での長尺シーンが圧巻。過剰寸前までリズムを計算した映像と音、光と影のコントラスト、目眩のように錯綜する時間軸。最後の告白まで続く、耐え難い不安定さが苦しい。所詮、自己満足にすらならない「つぐない」の虚しさに救いはない。

延々と続く不安と後悔。終わることのない永遠のつぐない。永遠をかけても決してつぐなえない小さな罪。小さな罪が生んだ取り戻すことのできない大きな喪失。計算されつくした緻密なリズムで紡ぐのは、美しく眩いばかりの愛と幸せな結末のつぐない。そのつぐないの残酷さ。張りつめた緊張感で一気に物語に引き込む冒頭のリズム感と、ゆったりとした流れから徐々に高揚感と悲壮感を増しながら胸を締め付けるダンケルク海岸の長回しの完成度も素晴らしい。観た後はどっしり心が沈むけれど、それでも繰り返し観たくなる作品。






(500)日のサマー(2009年)』
★★★★★
へタレ男子は必見。サマーに振り回されての妄想や有頂天や絶望や青春のモヤモヤが笑っちゃうくらい共感できるはず。甘く切なく理不尽な経験を乗り超えて男の子は成長するのだ! PV出身監督らしいリズム感や遊び心も上手く生きた。

「理解できない」「納得できない」「共感できない」。そんな感想こそがまさにサマーw いやいや、世の中なんてこんな理不尽さに溢れているんだって。いやいや、ちゃんとサマーのシグナルに気付けないから、世の中が理不尽に思えちゃうんだって。モテないヘタレ男子はこんなもんだってw とにかく、この情けなさは秀逸! なんてお洒落なかっこ悪さだろう! あー、青春て酸っぱいなぁ。






パンズ・ラビリンス(2006年)』
★★★★★
子供にゃ見せられないダークファンタジーの傑作。カエルの化け物とか、ややちゃちいCGもあるけど、そんなの無視出来るほど、容赦のないシビアな世界観に圧倒されました。イバナ・バケロを始め、俳優陣もGOODです。

とにかく観た時の衝撃がすごかった。こんなファンタジーが世の中にあるんだって。いや、ファンタジーなんて、元々救いの手段だったのかもしれないって・・・。分類としてはファンタジーだけど、物語の半分はあまりにも残酷な現実の世界。残る半分のファンタジーだって、決して楽しげな世界じゃない。ペイルマンなんて、子供が観たらトラウマになるレベルのキモさだしw それはともかく、ラストシーンの金色に輝く世界の美しさが泣ける。美しければ美しいほど泣ける。それにしても子供が辛い思いをする系の映画はホントに沈むな。どこまでも沈む。。。





ということで、改めて見直すと、アンハッピーな苦みを含んだハッピーエンドや、一見ハッピーエンドなんだけど実はハッピーじゃないという感じの映画が好きなんだなってことに気付いた。基本的に相反する二面性をを兼ね備えた、複雑でムズムズする感情に惹かれちゃうんだなぁ。とはいえ、単純に楽しい話も好きだけどね。さぁ、今年はどんなお気に入り映画に出会えるかな。

(おしまい)

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