こーじが選ぶ、2015年に観た映画 私的ベスト10!

こことは別に書いている「140文字映画レビュー」という超短文型映画レビューブログに掲載したレビューの中から、2015年に観た映画の私的ベスト10を選んでまとめてみました!

  • 2015年に公開された映画ではなく、僕が2015年に観た映画です。基本的にはDVD、Blu-ray、またはネット経由でのオンデマンド配信による自宅鑑賞です。(各タイトルの右にあるのが公開年)
  • いい映画ベスト10というよりは、印象に残った映画ベスト10です。
  • それぞれ上部の太字部分が「140文字映画レビュー」からの転載。下部は今回加筆したコメントです。
  • 一部ネタバレもあります。未鑑賞の方はご注意ください。
  • ★は5つ星での評価です。詳細はこちらを参照してください。

それでは今年もレッツ スタート!!








オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年)』
★★★★
結末だけは大変腑に落ちないが、笑いも織り交ぜながらテンポのよいハラハラドキドキを存分に楽しめる。ヘタレからヒーローまでをソツなくこなすトム・クルーズも適役。ラノベ原作だと甘くみていたが、娯楽SFとして文句なし。

所詮ラノベ原作だと思って完全に甘く見ていたら、予想に反しての面白さ。テンポがいいし、そのテンポを笑いに上手く活かしているし、娯楽SFとして文句なし。トム・クルーズも役にぴったり。少年漫画的なノリの単純さがいい。みんなでワイワイ楽しく観る映画としておすすめ。






リトル・フォレスト 夏/秋(2014年)』
★★★★
映画というフォーマットからは外れた感じもあるけれど、何気ない一瞬に涙がこぼれそうになる不思議な映画。流れ、繰り返す日本の四季の厳しさと素晴らしさ。その恵みを手間暇かけて利用する人間の営み。もっと丁寧な生き方をしたい。





リトル・フォレスト 冬/春(2015年)』
★★★★
四季は変わらず繰り返しても同じ季節は二度とは来ない。何かを強く訴えかけることも明確な答えもないのに消化不良感がないのは、観ている自分の中で何かが変わるから。少しの変化、根を張る覚悟。穏やかで厳しくていいな、この映画。

これは2作でひとつ。橋本愛ちゃんが計4時間、採ったり育てたりした食材をひたすら料理して食べるという映画。本来、自然の恵みを食べるのって手間暇かかることなんだなってすごく思った。栗とか山菜とか渋柿とかグミとか、そのままでは美味しくは食べられなくて、灰汁を抜いたり干したり漬けたりなんだりかんだり、手間と時間をかけて、やっとのこと食べ物や保存食にしてるんだよね。採ってそのまま食べられる野菜にしたって、人が食べるのに適したものはちゃんと畑で育てたりしないといけないわけで、それはやっぱり時間も労力も必要なんだな。普段はそんなこと考えたこともなかったけれど、米も野菜も肉も魚も、誰かがその手間を代わりにやってくれているお陰で、スーパーで買ってくるだけで手軽に食べられるんだって、改めて痛感した。

グルメ映画ともロハス映画とも田舎っていいな映画ともちょっと違うけれど、すごくいい映画。






別離(2011年)』
★★★★
イラン社会の問題点を巧みに取り入れながら、入念に編み込まれた脚本に驚嘆する。それぞれが何かを守るためにつく小さな嘘の恐ろしさ、真実を語る恐ろしさ。誰もが罪を持ち、しかし一体誰を悪いと言えるのか。人は何故理解し合えないのか。余りに深く重い。

彼女が消えた浜辺』に続き、イランの現在をベースとすることで生まれ得た映画。単純にサスペンスとしても見応えがあるが、女性に人権がない国であるサウジアラビアの映画、『少女は自転車にのって』などと併せ、こうした作品が広まることで、もしかしたら映画は時代を変えることができるのかもしれないという可能性を感じる。






麦子さんと(2013年)』
★★★★
無理せず背伸びせず、だけど伝えたいことは無駄なくしっかり描いた丁寧な作品。こうした落ち着いた良作で温かく涙するのもいいもの。細かい笑いどころが安心感を生んでもいる。親、には限らないけれど、人の想いって上手くは伝わりづらいものだよね。

堀北真希がアニメ声優を目指すオタク女子役ということで、すっかりコメディかと思って観たんだけれど、全く予期しなかった母と娘の涙腺崩壊物語でやられた。突っ込みやすい細かい笑いも違和感のない範囲でしっかり盛り込まれて、程よい箸休めになっている。前半に伏線を散りばめ、後半でひとつひとつ回収していく、コンパクトにまとまった脚本が心地よい。あと、温水さんが今まで観た中で一番良かった。聖子ちゃんの歌う赤いスイートピーももちろん良い♪






マダム・イン・ニューヨーク(2012年)』
★★★★
自分も英語が苦手だからNYで戸惑う気持ちはよくわかる。認められたいという気持ちもよく表現されている。アメリカ映画っぽくもインド映画っぽくもありの絶妙なブレンド具合。微笑ましく気持ち良い展開も最後のスピーチも文句なし。

アメリカ映画っぽさとインド映画っぽさがいい感じでブレンドされていて、面白くて元気になれてホロリときてマダム頑張れって気持ちになって、観た後はさわやか気分。こういった元気になれる映画は単純に楽しい。インド映画のお約束の踊りシーンもほとんどなくて、普通の映画と同じ感覚でおすすめできる。あと、マダムのシャシがとても50歳とは思えない美しさ!






パーマネント野ばら(2010年)』
★★★★★
オチは読めようとも鑑賞後の痛みと温かさに変わりはない。映画はやはり見せ方次第。シーンごとに別人になる菅野美穂も、役そのものの小池栄子も、その他みんなも素晴らしい。それでも人は笑って生きなきゃだし、景色は美しく人を包み込む。

一見は脈絡のない話を積み上げた田舎の漁村の女性たちの群像劇。ちょっとブラックで下品で、それでいて上品で。肝心のどんでん返しのオチは途中で読めちゃうんだけれど、それでも浜辺で振り向きながら尋ねる一言の苦しさは、胸の鼓動を止まらせる。そしてそれを何事もないように受け止める小池栄子の笑顔が象徴する、脈絡のない話や会話から生まれる鑑賞後の痛みと温もりが余韻として鳴り続ける。

観終わってから、原作 西原理恵子、監督 吉田大八と知ったけど、なるほどまさにそんな感じ。めっちゃ面白い、というのとは違うけれど、何度も繰り返して観たい味わいがある。映像も恋する菅野美穂も綺麗だし。なんかね、哀しみさや苦しさを表に出さずに笑って生きるっていう、そういう人の強さというか弱さというか、そういうのに弱いんだな。






チョコレートドーナツ(2012年)』
★★★★★
深い。自分の幸せを自分で選べない理不尽さ。他人の幸せを他人が量ることの難しさ。差別。偏見。そして愛。隙も無駄もない演技、映像、脚本、演出。マルコ役のアイザックがまた素晴らしい。好きなお伽話は同じくハッピーエンドなんだよ。

これはね、深いよ、深い。ゲイのカップルがダウン症の子供を引き取るというレアケースな設定だけど、そんな差別や偏見が生み出す、自分で自分の幸せを選べない理不尽さや、他人が他人の幸せを推し量ることの難しさはきっと共感できるはず。「マルコが好きだったもの。人形のアシュリー、ディスコダンス、ハッピーエンドのおとぎ話、そしてチョコレートドーナツ」。そこにあと一つ、安心できる場所があれば幸せになれるのに。。。






ウォッチメン(2009年)』
★★★★
退廃的なムードや構成の分かりづらさもあって全体的には面白くはない。が、ヒーロー物として絶対に避けなくてはならないはずの結末に、その衝撃と虚しさにやられた。本能的に拒絶はしても、歴史が証明してきた事実を否定し切れはしないのだろうか。

今まで観たヒーロー映画で一番衝撃的だったウォッチメン。いや、全然ヒーロー映画っぽくないし全体的にはつまらないんだけど、とにかく結末が衝撃的。いやそれ否定しなくちゃだめでしょ!? ここからいや違う!って最後の決戦になるんでしょ!?っていう不完全燃焼感に全くもってスッキリできない。そのくせその結末を完全には否定しきれないから始末が悪い。スケールを学校とか会社とかに縮めてみても、確かにこういうことって多いからなぁ。






イントゥ・ザ・ワイルド(2007年)』
★★★★★
この世界と生きる道を認め遅れた青年。数々の人々との出会いを経て、何故人々の中へと戻れなかったのか。それがただただ悔しい。キザでクドい映像表現の青臭さも、次第に破滅の足音と悲しく同調する。後悔を背負う者の辛さが重く沈む。

重いわぁ。半分は若さと希望のキラキラだけど、残る半分は残されて後悔を背負うことになったであろう大人たちの辛さを思わざるを得ない。おそらく彼も答えには気付いていたんだよね。だけど、それを認めるための通過儀式をやめることができなかった。やめさせることができなかった。それがただただ悔しい。






アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜(2013年)』
★★★★★
前半はタイムトラベル恋愛物。が、ラストに向かうにつれ、重ねる日々の愛おしさに心を洗われる。これを観たら素直に毎日の過ごし方を変えたくなるはず。「疲れた。忙しい。」しか言っていない自分を強く反省せねば!

ある意味自己啓発物とも言えるのかもしれないけれど、こんなのを観たら今までの自分を反省せざるを得ないよね。そんな日々の生き方への問いかけを、嫌味なく恋愛の眩しさや家族愛の温かさの中に織り交ぜてきたところに価値がある。それにしても恋するレイチェルの表情は、不思議なくらいに光って見えるなぁ。





ということで、公開年はバラバラですが、以上が2015年に観た映画の中で印象に残った10選です。去年に引き続き年間にちょうど100本観たので、上位の10%ということになります。今年は特に後半になって邦画を観る比率が高まりました。たぶん歳をとって字幕を追うのがつらくなってきたことや、日本的な景色や情緒の心地よさを頭と体が求めているとか、そんなことなんだろうと思います。重い大作系は、その凄さは分かるんだけど見終わった後の疲れの方が勝っちゃうという、そんな一年でした。来年はアクションやSFも元気に楽しめたらいいな♪

(おしまい)

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