こーじが選ぶ、2014年に観た映画 私的ベスト10!

実は、こことは別に「140文字映画レビュー」という名前で、超短文型映画レビューのブログも書いていたりします。今回は、そちらに掲載したレビューの中から、2014年に観た映画の私的ベスト10を選んでまとめてみました!

  • 2014年に公開された映画ではなく、僕が2014年に観た映画です。基本的にはDVDまたはBlu-rayでの自宅鑑賞です。(各タイトルの右にあるのが公開年)
  • いい映画ベスト10というよりは、好きな映画ベスト10です。
  • それぞれ上部の太字部分が「140文字映画レビュー」からの転載。下部は今回加筆したコメントです。
  • ★は5つ星での評価です。詳細はこちらを参照してください。

それではレッツ スタート!!








キャビン(2012年)』
★★★
前半は定番的なホラー。ところが一転してギャグ映画に変わる、エレベーターに乗ってからのカオスっぷりが最高! 特にあまりに素直すぎてむしろ予想外の結末と、裏の主役の半魚人には大笑い。点数は低めだけど、このナンセンスさは好き。あと半魚人も好きw

ドリフのコントのような終盤のぐっちゃぐちゃなカオスっぷりが最高! 口が開いたまま塞がらなくなる突然の弾けっぷりが最高! あと、半魚人がいい味出し過ぎ♡






ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜(2012年)』
★★★★
叩き付ける現実の重さと溢れ出す生命力。6歳の見上げる視点で切り取る朧気な世界。魂を揺するハッシュパピーの叫び。難解作に陥りかけの危うさはあるが、この力強い演技と映像を引き出したのは素晴らしい。蟹を貪りたい。

可愛らしい邦題に反して内容は重い。心にずーんとのしかかる。何というか「生きる」ことの重さに圧倒された。未だに自分の中で消化し切れていない感じがする。ポニョを彷彿させる展開だけど、こっちは無邪気な決意ではなくて、力強く逞しく厳しい生命力に溢れている。CGの使い方も上手い。よくあることだけど、タイトルは原題の『Beasts of the Southern Wild』の方がはるかにいいな。






ウォーム・ボディーズ(2013年)』
★★★★
ゾンビのラブストーリーというぶっ飛んだ内容ながら、これが意外な面白さ。音楽に乗せての小洒落た雰囲気とホラー感と笑いが程よくライトにまとまっている。缶詰めを開けて食べるシーンなど、映像のリズム感も良し。シャレオツゾンビ映画。

あらすじを聞くとB級っぽいけど、限りなくA級に近いB.7級映画。バカバカしさからの盛り上がりは「第九地区」に近いかな。後味も爽やかだから、恋人同士でワイワイキャッキャッと観る映画としておすすめ♪






ペネロピ(2008年)』
★★★★
呪いによって豚の鼻で生まれた女の子の物語。古典的なファンタジーではなく、しっかり現実世界を生きて現代的に力強く運命を切り開く姿が実に痛快。豚鼻でもキュートなリッチ、男前なマカヴォイ、映像、ファッション、どれも最高。証明写真にもニヤリ。

「王子様なんかに頼らないわ」的展開としては、ぶっちゃけアナ雪よりこっちの方が好き。それはともかく、これと「バッファロー'66」の2作をもって、クリスティーナ・リッチは天使ってことでいいと思う。天上にいて羽が生えたようなのじゃなくて、この現実世界でしっかり実体をもって、どん底から救ってくれる系の天使ね。ちなみに、リッチが表情を変えながら証明写真をパシャリパシャリと4枚撮るシーンは「バッファロー'66」を思い出させる。このシーンを入れたサービス精神には嬉しくてニヤニヤが止まらなくなった♡






私の中のあなた(2009年)』
★★★★
白血病の姉のためにこの世に生まれた妹。命の意味といった深みを避けて家族愛に主題を絞ったが、これはこれで正解だろう。なにしろ泣けて仕方ない。喪失感はあるが全員が救われる結末も良い。歌とイメージ映像に頼りすぎな回想シーンはやや冗長。

白血病の姉に臓器を提供するためにこの世に生まれた妹が、これ以上提供したくないと裁判を起こすところから始まる物語。これはとにかく泣ける。家族それぞれの思いが痛いほど伝わるし、中でも誰よりも全てを理解し受け入れている姉のケイトがあまりに強く愛おしすぎる。原作とは結末が違う上に、命の意味といった深みを避けて主題を家族愛に絞っていることには賛否両論あるだろうけど、個人的にはこれで正解だと思う。暖かい涙を流したいときには文句なくおすすめ。泣けるよ。






小悪魔はなぜモテる?!(2010年)』
★★★★
小さな嘘からアバズレキャラを演じることになる女子高生。明るくて笑えて切ないコメディは大好物。「まあ いいやって思って」から「こんなにつらいなんて」と変わる気持ちに泣ける。綺麗にもそうでなくも見えるエマが魅力的でドキドキ。

基本は明るくて、ちょっとほろ苦いけど、最後は笑顔で終わる青春コメディ。こういうタイプの映画は大好き。しかし何より言いたいのはエマ・ストーンがなんとも魅力的だってこと。美人にも見えるし、それほどでもなくも見えるんだけど、不細工な表情すらも楽しく元気そうに演じる姿が実に素敵。低い声もいい。これは惚れるわ。あと、これも邦題が最低。そんなに小悪魔というキャラではないし、原題通り「Easy A」でいいと思う。






八日目の蝉(2011年)』
★★★★★
冒頭から突き付ける深く残酷なプロット。誰もが負い目を抱えるが故に絶対的な正義のない葛藤。愛情に包まれて過ごした時間だけが紛れのない真実となる。主演二人の演技と撮影が見事だが、この物語に一番の説得力を与えたのは小豆島の美しさだろう。

泣けた。感動したとか切なかったとか、そんなのではなくて、もっと深い涙。観て思ったのは、自分が歩んだ時間を否定することは決してできないということ。幸せだったり悩んだり楽しかったり悲しかったり、心に残る思い出はたとえ嘘の上に積み上げられたものだと知ろうと、その後に関係が崩れてしまおうと、その瞬間瞬間に感じたものは、否定することも消し去ることもできない真実なんだなと。必ずしも「現在」と繋がっているものだけが真実なんじゃないんだなと。漠然ながら、そんなことを感じた。人生の喜びって、どれだけ生きた痕跡を残せたかといった尺度もあるけれど、たとえ途切れ途切れでも真実の時間をどれだけ心に刻み込めたかでもあるんだろうな。。。






ゾンビランド(2009年)』
★★★★
ゾンビだらけのアメリカを旅するコメディ系ロードムービー。あっけらかんと明るくて、逞しくって、ややホロリ。主演4人のキャラ立ちがGood。特にタラハシーの無敵さとエマのツンデレに惚れる。わざと死亡フラグを立てまくる終盤の展開も好き。

予想ついてると思うけど、エマ・ストーンがイイ! すごくイイ! キャラ的にはこっちの方がよっぽど完璧な小悪魔! こんな小悪魔に弄ばれたいw さらに、タラハシー役のウディ・ハレルソンの格好良さも最高! なんてったって父がマフィアの雇われ殺し屋で母が弁護士秘書というハレルソンの出生からしてインパクトありすぎ! もちろんこの二人だけじゃなくて、映画そのものもくだらなくって抜群に面白い!






バグダッド・カフェ(1987年)』
★★★★★
映画としての完成度以上に、映像と歌が記憶に染み付く作品。絵も編集も懲りすぎの冒頭こそ好きと言っとけばお洒落に見える系の嫌悪を感じたが、気付けばこの気だるさと救いの混在する世界にはまり込む。太っちょおばさんなのに可愛いいぞ。

冒頭こそお洒落気取りのアート系だと思っていたけれど、いつのまにか砂漠のど真ん中にある、このうらぶれたカフェの世界観にどっぷりとはまり込んだ。黄色いフィルターを効かせたお洒落気取りの映像も、悔しいけれど、やっぱりお洒落。全てのシーンを写真集にして手元に置いておきたいくらい。耳に染み付いて離れないCalling Youの力もすごい。勢いに任せて連続で3回観たせいもあって、数日間は映像とCalling Youが頭の中をぐるぐるぐるぐると回っていた。あと、汗だくのぶすっとした顔で登場する太っちょのおばさんが、どんどんどんどん可愛いく見えてきて驚くはず!






愛のむきだし(2009年)』
★★★★★
なんだよこれ! 涙と鼻水とアホらしさで最後はぐっちょぐちょだよ! ぐっちょぐちょの感情でぐっちょぐちょ! 身体中のあらゆる体液が混じり合って流れ出す。熱量に余韻が止まらない。理屈抜きに心のど真ん中をガツンと叩きつける。愛だよ愛!

4時間もあるのに密度が濃すぎる! 4時間ずっと全力疾走! 8時間の映画を4時間に凝縮したのを2時間で観たような感じで、画面から目を離す隙なんて一切ない! お陰で鑑賞後は息が切れて放心状態になった。内容は恋愛、家族、エロ、グロ、コメディ、アクション、カーチェイス、ヒーロー、学園、バイオレンス、その他もろもろいろんな要素が片っ端から詰まっていて、そのくせ結論は「アイズ ワイド シャット」以上にアホらしくてシンプルで力強い。まさか最後の○○のシーンで拳を突き上げて勝利の雄叫びを上げることになろうとは思いもしなかったw 子供っぽいエロ要素がかなり強いから女の人が観たらたぶん引きまくりだけど、少なくとも男性は観るべきだと思う。ちなみに僕はレンタル期間中に4回観た。4時間もあるのに4回観た。自分でもどうかしてると思うけどw

それにしても、園子温の映画って基本的には嘘ばっかりだよね。「愛のむきだし」も高校生の盗撮王子だったり、男を軒並みぶちのめす女子高生だったり、国家間の裏取引を仕切る女子高生だったり、サソリさんの正体に気付かないわけないだろ×2の展開だったり、クライマックスの突入劇だったり、さらなる真のクライマックスとなる最後の奇跡だったり、とにかくすべてがあり得ない嘘だらけ(実話がベースではあるらしいけど)。映画にリアリティを求める人には、もう評価にも値しないレベルの最低さに違いない。

それなのに、4時間もあるこの映画に身動きできないほど引き込まれたのは、俳優たちの限界を超えたような演技の力だろうな。限界を超える演技を引き出した園子温の力なんだろうな。とにかく全ての俳優さんの演技が素晴らしすぎる! 熱量がすごすぎる! 例え嘘だらけであり得ないことだらけの映画でも、俳優たちの爆発する感情があるからこそ、リアリティなんてクソ食らえの現実が生まれ、目を離すことができなくなったんだと思う。

あと、バスに拉致監禁されて「海が見たい」というシーンの満島ひかりが異様に美しいんだよね。他のシーンとはまるで別人のレベルの美しさ。女優さんていろんな顔ができるんだなー。





ということで、公開年はバラバラですが、以上が2014年に観た映画の中で印象に残った10選です。年間にちょうど100本観たので、上位の10%ですね。本当は1日1本のペースで観たいのですが、それは老後のお楽しみですね~。

(おしまい)

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