【美術展めぐり】ミュシャ展『スラブ叙事詩』の巨大さに驚いた!
今日は、ミュシャが晩年の17年を費やして描いた、20作からなる『スラブ叙事詩』を観に、新国立美術館へ行ってきました。20作が揃ってチェコ国外に出るのは初めてのことで、そして、自分が生きている間には多分もうないことのはず。これは観に行かない選択はありません。
『イヴァンチツェの兄弟団学校』
このミュシャ展、どういうことか『スラブ叙事詩』20作のうち、5作を収めた部屋は写真撮影可という驚きの大盤振る舞い。部屋に入って最初の1作は『イヴァンチツェの兄弟団学校(1914年 テンペラ、油彩/カンヴァス 610×810cm)』。
左下のこの青年は、若き日のミュシャ自身とのこと。いい男。
『ロシアの農奴制廃止』
次は『ロシアの農奴制廃止(1914年 テンペラ、油彩/カンヴァス 610×810cm)』。
『スラブ叙事詩』には、こんな風に画面の中からこちらを真っすぐ見つめる人が、数多く描かれていました。こうした強い視線が、目を逸らし難く惹きつけるのです。
『聖アトス山』
『聖アトス山(1926年 テンペラ、油彩/カンヴァス 405×480cm)』。目で観たイメージはこんな風に美しい青みが掛かっていたけれど、実際はもっと茶味が強かったのかも。写真ごとにホワイトバランスがバラバラだから、何が正しいかわからなくなっちゃった。リトグラフの絵のイメージが強いせいか、もっとあっさりした塗り方を想像していたけれど、実際は思ったよりもはるかにしっかりと塗り込んだ絵でした。
それにしても、大きいだろうなと思ってはいたけれど、6.1×8.1mというサイズは実際に自分の目で観てみると、圧巻と言うしかありません(『聖アトス山』は4.05×4.8m)。このサイズの絵をどうやって描いて、どうやって日本まで運んで来たのかと驚きます。
『スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い』
4作目。『スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い(1926年 テンペラ、油彩/カンヴァス 390×590cm)』。この1作だけは未完成とのこと。後ろの方の人たちはざっと色を塗ってあるだけです。それにしても、どうして写真撮影が可なのか。それがどうして5作だけなのか。どうしてこの5作なのか。いろいろと不思議です。
この巨大サイズのカンヴァスだからか、遠目にはわからないけど布目が結構荒々しくて、それがまた画面に深みを与えている感じです。
『スラヴ民族の賛歌』
最後は『スラヴ民族の賛歌(1926年 テンペラ、油彩/カンヴァス 480×405cm)』。『スラブ叙事詩』を締めくくる、大団円とかグランドフィナーレといった感じ。
いやぁ、実に見事な展示でした。『原故郷のスラヴ民族』とか『スラヴ式典礼の導入』とか『ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛』あたりも写真を撮れたら嬉しかったけど、それは贅沢な願いってものですね。
あまりの大きさに、みんなが後ろへ下がる
ぼかしているから分かりにくいけれど、6.1×8.1mの絵を人間と比較するとこんな感じ。映画のスクリーンみたい。絵の展示というと、普通はみんな前へ前へ近くへ近くへと押し合うけれど、今回ばかりはむしろ後ろへ後ろへ、遠くへ遠くへと人波が動いていました。そうしないと全体が見えないのです。そのため、『スラブ叙事詩』については絵の巨大さとも相まって、混雑はしているけれども、充分にじっくりと絵を鑑賞できました。
というわけで、この20作を観れたことは本当に良かった。この他にも、一般的なミュシャのイメージのポスターといった商業作品も展示されていました(こちらは混雑でじっくり観るのは大変です)。線画だけで描かれた下絵も本当に上手だったなぁ。
おやつは「サダハルアオキ」
さて。絵画を観たらスイーツです。ということで、ミッドタウンのサダハルアオキ。抹茶の季節ですよねー。ケーキといったら苺ですよねー。
まるでプリンのように濃厚なシュークリーム。
紅茶は鉄瓶で。都心は美味しいお店がたくさんあっていいなぁ。
圧巻の『スラブ叙事詩』
ミュシャは芸術家というよりはお洒落なイラストレーターのイメージでいたけれど、20点からなる『スラブ叙事詩』は全くの別物。610×810cmという、とてつもない大きさの絵が並ぶ光景は、それだけで圧巻。20点全てが国外に持ち出されるのは最初で最後とも言われているようだし、これは絶対に観ておくべきですよ!
(おしまい)
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