【美術館めぐり】六本木で開催のウィーン・モダン展。クリムト、シーレだけじゃない、世紀末ウィーンの魅力が満載。
外交樹立150周年のウィーン。19世紀末ウィーンの芸術を楽しむなら、今。
今年は、日本・オーストリアの外交樹立150周年。それを記念して、国立新美術館で2019年4月24日から8月5日まで開催している展覧会が「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」です。また、東京都美術館では、2019年4月23日から7月10日まで「クリムト展 ウィーンと日本 1900」も開催されており、19世末のウィーンを代表する画家、グスタフ・クリムトを観るには、またとない機会になっています。「クリムト展 ウィーンと日本 1900」については先日ご紹介しましたが、今回は、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」へと足を運んでみました。
クリムト、シーレだけでなく、19世紀末ウィーンの芸術を幅広く展示
観に行ったのは、GWの終盤。新緑が目に眩しいほどに輝いています。ガラス張りの曲面が美しい国立新美術館は、大好きな美術館。展示スペースが広くてゆったりなのが嬉しいですね。
ロビーにはクリムトの絵画《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I》が描かれたピアノが展示されていました(展示は2019年5月6日まで)。世界に25台しかない貴重なものだそうです。美しく、そして、ものすごい存在感でした。
展覧会の内容は19世紀末から20世紀初頭のウィーンで花開いた、絵画、建築、デザインなどの芸術を総合的に網羅したもの。絵画だけでなく、家具や衣類、食器、建築模型等も展示され、その時代のウィーン芸術を俯瞰的に学べるものになっています。全4章に分かれた展示は、かなりのボリューム。会場入り口に置かれた展示目録は、なんと全部で8ページもあります。その展示量の多さがわかっていただけるでしょう。
第1章は「啓蒙主義時代のウィーン」。第2章が「ビーダーマイアー時代のウィーン」。この2つの章は展示スペースも広くはなく、比較的ささっと通り抜ける感じです。この頃のウィーンは政治的抑圧が強くて、日常生活に密着したような芸術が中心だったそうです。
第3章は「リンク通りとウィーン」。それまでウィーンの街を取り囲んでいた城壁を、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が取り壊し、城壁の跡を「リンク通り(リンクシュトラーセ)」として整備。通りの沿道に大きくて立派な建物を次々と建て、一気に大都市へと変貌を遂げたという、その勢いに驚きました。ウィーン万国博覧会では、長さ950メートルという産業館まで作ったというのも驚きです。超建築バブルだったに違いありません。
ウィーンには学生時代に行ったことがあるのですが、そんな歴史もリンク通りも、当時建てられた歴史的建築物も全く記憶になしw なんともったいない旅をしていたのでしょうか。改めてウィーンを訪ねてみたくなりました。
そして第4章が、展示スペースの半分以上を占める「1900年 世紀末のウィーン」です。ここでのメインはクリムトとエゴン・シーレ。シーレは知りませんでしたが、ゴツゴツとした手が特徴の、個性的な絵柄でした。
最近の美術展では珍しくなくなってきましたが、ここに展示されているクリムトの《エミーリエ・フレーゲの肖像》は写真撮影可です。
GWで人が少なかったため、真正面からも存分に鑑賞できました。
鮮やかな図柄を書き込んだ平面をハサミで切り抜いたような服と、くすんでぼやっとした人物の、クリムトらしいコントラストが素敵。青と緑を中心とした色彩も実に美しいです。もうほんと、クリムト大好きです。
そうそう、会場にはマツコ・デラックスのような、クリムトのあのスモックも展示されていましたが、イメージ通りに大きかったですw
その他にも様々な展示がありますが、ウィーン分離派のポスター類も、お洒落で良かったです。
そんなわけで、クリムトだけを楽しむのならば「クリムト展 ウィーンと日本 1900」をおすすめしますが、19世紀末ウィーンの芸術を総合的に観たいのならば、この「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」がおすすめです。また、こうした総合展的なものは、芸術家単体の美術展よりも混まないケースが多いので、クリムトの絵を少しでもゆっくり観たいのならば、こちらの方がおすすめかもしれません。
鑑賞後は「中國名菜 孫」でお洒落な中華ランチ
鑑賞後は国立新美術館からほど近い、「中國名菜 孫」でランチをいただきました。注文したのは2,160円の「八宝菜と酢豚の特別セット」。このお店のランチは、メニューによって頼める最少人数が決まっているのが注意点。このセットは2名以上からとなります。
八宝菜。なんでしょうか、この洒落た盛り付けは。美しいです。奥にチラッと写ってるご飯は一口サイズ。お代わりを持ってきてくれましたが、それもまた最初よりも少な目の一口サイズ。中華って、お腹いっぱいにさせたがるイメージがあったけれど、ここはお上品なお店らしく、お椀いっぱいのご飯は盛りたくないのでしょう。ボリュームが必要な人は、別途何かを追加オーダーする必要がありそうです。
デザートにかかった赤いソースは山査子(さんざし)。日本ではあまり馴染みがないですが、中国ではポピュラーな食材だとのこと。甘酸っぱくて美味しいです。
料理がテンポ良く出てくるのは気持ち良かったです。ボリュームは不足しているけれど、上品でお洒落な料理の数々は、ちゃんと手が込んだ印象を受けました。美術館帰りの雰囲気には合っているかもしれませんね。
ということで、目もお腹も優雅な気持ちになった、GWの一日でした。
(おしまい)
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