あなたの身の回りにもきっと居る。現代日本妖怪図鑑。


妖怪なんて、せいぜい昭和の時代までの話で、今の日本には居るわけない。そんな風に思っている人が多いでしょうが、そんなことはありません。現代の日本にだって、たくさんの妖怪たちが存在しているのです。いえ、むしろ現代だからこそ新しく生まれた妖怪だって少なくありません。

現代の日本にも、身の回りにたくさんの妖怪がいるのです

そんなことあり得ないって? 

そんなことあり得ないなんてあり得ません。だってほら、この図鑑を読んでもらえれば、わかるはず。「そうだったのか! あれは妖怪の仕業だったのか!」と、誰もが納得することでしょう。

それでは、そんな現代日本の妖怪たちの一部をご紹介しましょう!



【紙隠し(かみかくし)】

プリンターから出力された紙をすっと抜き取る妖怪。それだけならまだしも、「あれ? 印刷ボタンを押し忘れたかな?」と思って再出力をすると、その隙に元の場所に戻すため、同じプリントが2枚になってしまうという、迷惑この上ない妖怪。日中の会社、それも人の多い時間帯を好んで現れる。



【ホチ針抜き(ほちはりぬき)】

気持よくホチキスを使っているときを狙って現れ、針をそっと抜き取る妖怪。気付かずにスカッとなった悔しそうな表情を見るのが大好き。「さっき新しい針を入れたばかりなのに」「あと1箇所綴じれば終わりなのに」というタイミングで針がなくなるのは、この妖怪の仕業。



【かゆいの】

背中のどこかが痒いのに、どこを掻いてもちょっと違う気がする時は、この妖怪の仕業。背中がむずむずするように、そっとなでるが、素早く逃げまわり、決して捕まえることはできない。



【シャツまわし(しゃつまわし)】

シャツを着て首の穴から頭が出るまでの僅かな間にシャツを素早く180度回し、後ろ前にしてしまう妖怪。「ちゃんと着たはずなのにどうして!?」というときは、だいたいこの妖怪の仕業。特に、子供や酔っ払ったおじさんなどによく現れる。



【靴下片隠し(くつしたかたかくし)】

脱ぎ散らかした靴下の片方だけをこっそり隠す妖怪。新鮮な脱ぎたての靴下の匂いが大好き。そのまま見つからないこともあれば、ソファやベッドの下などから見つかる場合もある。まれに両方隠すこともあるらしい。



【一個茸(いっこだけ)】

もうやめたほうがいいと分かっているのに、ついついあと一個だけと食べ続けてしまうとき、あなたの後ろには妖怪一個茸がいるはず。耳元でイッコダケ、イッコダケと囁きながら、あなたの手を目の前の食べ物へとそっと押し出す。この妖怪が現れたら、それを食べ尽くすまで逃れる術はない。



【此処魔手(ここまで)】

喉まで出かかった言葉を、首を絞めて出てこなくさせる妖怪。ほぼすべての人が幼少期に憑りつかれるが、この妖怪が力を発揮できるほど成長するには、数十年かかる。そのため、宿主が年老いて初めて、その被害が出てくるようになる。



身の回りの妖怪を探してみよう

いかがでしたか? きっと遭遇したことのある妖怪がいたはずです。科学や技術の進歩した現代においても、妖怪はしっかりと生き続けているのです。あなたの身の回りに起こる、ちょっと不思議な出来事。それは逞しく現代を生きる妖怪たちの仕業に違いありませんよ。

(おしまい)

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