こーじが選ぶ、2016年に観た映画 私的ベスト10!
こことは別に書いている「140文字映画レビュー」という超短文型映画レビューブログに掲載したレビューの中から、2016年に観た映画の私的ベスト10を選んでまとめてみました!
それでは今年もレッツ スタート!!
『ミツバチのささやき(1973年)』
★★★
真の価値である作品が象徴する政権批判の意図を読み取る力はないが、黒い画面の中に蜜色に浮かぶ、完璧な構図で額縁に収まった、まるで絵画のような映像だけで十分以上の価値を感じる。そして青く光る汚れのないアナの目の白さに惹き込まれる。
面白いとか面白くないとかそんなことは関係なく、レンブラントを思わせる絵画的な映像がとにかく素晴らしい。深く沈む黒の中に浮かぶ魅惑的な蜂蜜色。そしてこれもまた絵画のようなアナの無垢な美しさ。この映像を観ているだけで、心は満たされる。
『ONCE ダブリンの街角で(2007年)』
★★★
特に後半は9割くらいを歌が占め、ほぼMV状態。手持ちのグラグラや望遠で盗み見る映像には撮影者の息づかいを感じる。とはいえ雰囲気は抜群。音楽の力の表現も上手い。ダブリンの街にそっと消え行く結末も良し。掃除機デートしたい。
『はじまりのうた(2013年)』
★★★
頭の中で音楽が色づいていく面白さ、街の息吹の中でのゲリラレコーディングの興奮、アレンジで変わる音楽の繊細さ、音楽を分け合う楽しさ。音楽の魅力がいっぱい。どん底で出会った二人が妙な恋愛状態にならないのも良し。爽快な結末が気分良し。
これは2作をまとめてひとつ。内容的にはどちらも同じようなものだし、映画として物語が面白いかと聞かれれば、ぶっちゃけ「はい」とは言い切れない。それでも音楽と映像のマッチングのセンスが素晴らしいから、どちらも幸福感と高揚感に包まれたひと時を過ごすことができる。ほんと、音楽で通じ合える人たちって羨ましい。
『ザ・ウォーク(2015年)』
★★★★
自分の手がこんなに汗をかくとは知らなかった。映画を観ていて目をつぶりたくなったのは初めて。怖さと興奮と冒険心が混ざり合う、こんな感情も初めての経験。今の技術あってこそのリアルな映像。渡る気持ちは全く理解できないが確かにアートかも。
軽い高所恐怖症の自分にとって、これほど怖くて興奮して、それでいてワクワクする経験は初めて。でもやっぱり一番強く感じるのは恐怖心。自分でも驚くくらいに手に汗をかいていて、ああこれが「手に汗握る」ということなんだと実感した。ほんとにほんとの高所恐怖症の人が見続けるのは無理だと思うから気を付けて。
『メメント(2000年)』
★★★★
観る側が頭を使って真剣に取り組む必要はあるが、このアイデアを、ちゃんと魅せる映画として成り立たせた頭脳とセンスはやっぱりすごい。タトゥーのビジュアルも素敵。ナタリーを見て女は怖いと思い、一方でサミーの奥さんを見て胸を締め付けられる。
改めて今観ても、当時と同じ驚きを感じちゃうんだからすごい。このアイデアと構成は見事としか言いようがない。切れ目のない緊張感で、宇宙船のドッキングだけであそこまで盛り上げちゃうある種の力技を持つ最近のノーラン作品より、こっちの方がずっと好き。ビジュアルもアングラ感があって魅力的。
『ファンタスティック・プラネット(1973年)』
★★★
ぶっちゃけな感想は薄気味悪い。が、不可思議な生物たちや宇宙人の生態が生み出す独特で強烈な世界観、日本人では生み出し得ない美術的センスには驚嘆せざるを得ない。絵本が動くような切り絵アニメーションの映像も素晴らしい。
なんだかとんでもないよ、この作品。1973年製作の切り絵アニメーションらしいんだけど、とにかくビジュアルが独特すぎる。子供が見たらトラウマになるレベル。でもとにかく凄い。これはかなりの確率でクセになる。この作品、「人間凄い」「戦ってもいいことないから和平しよう」という結末なんだけど、こういう感覚って西洋っぽいというか、昔っぽいなぁ。今だったら、お互い必要な存在だから尊重し合おうとか、同じ星で暮らすもの同士仲良くしようとか、そういう方向で締めそう。
『きみはいい子(2015年)』
★★★★★
涙腺崩壊映画。泣かせるためでなく気付かせるための涙。何かが心の中に満ちる涙。抱きしめること、抱きしめられることの大切さ。傷つけるのも救うのも人。「きみ」は子供だけじゃない。唐突に終わる物語を続けるのは私たち。まだ涙が止まらない。
これはね、ほんとみんな観た方がいいよ。同時進行する3つの話それぞれに直視し難い問題があるから観るのが辛くもあるけれど、だけど、それぞれに希望の兆しが描かれているから、単なる苦しい映画では終わらないはず。そして大切な人たちを抱きしめたくなるはず。
演技は尾野真千子、池脇千鶴、喜多道枝の女性3人が素晴らしい。特に、クライマックスで尾野に救いを与え、それまでの印象を一変させた池脇はさすがの一言。このシーンの重さと深さと慈しみは、とてつもなく大きい。
富田靖子が救われて涙するシーンも、ひとつのクライマックス。
そして、「頑張って」の何というパワー。
順番としてはこの3つのキーとなるシーンが逆に進むわけだけど、だんだんと感情を高ぶらせていく手順が上手い。
物語が始まってしばらくは、演技や映像に何となく現実感のないような不思議なぎこちなさを感じるけれど、それも中盤まで。敢えて感情を抑え込むための演出なのかも。
終盤は演技とドキュメンタリーとファンタジーが同居するために若干困惑するけれど、それもまあ許容範囲。
とにかく、みんなが観て、ぎゅっと抱きしめて、そして世界を平和にしよう!
『レオン(1994年)』
★★★★★
非現実的な設定の中で楽しむ物語としてひとつの完成系。映画としての甘さはあろうと、最初から最後まで弛むことないかっこよさと切なさと愛おしさの前では何ら問題にならない。主演3人のキャラと演技も文句の付けようなし。キーアイテムがどれも素敵。
これもメメント以上に古い作品だけど、観直してみたら、なんとまぁ面白いことか。かっこいいし微笑ましいし泣けるし切ないし、いろんな感情を織り交ぜた娯楽作として文句の付けようがない。ミルクと観葉植物とニット帽とサングランスとロングコート。愛すべきキーアイテムの数々がまたニクい。エンディングのスティングの流れ出すタイミングが、これまた完璧すぎてゾクゾクする。そしてもちろん、主演3人の演技も素晴らしい。
『花とアリス殺人事件(2015年)』
★★★★
なんかいいなこれ。意外にも何をしてるの?何をしでかしちゃってるの君たちは?というコメディ感が強いけど、そのバカな青春の幸せさを、実写ともアニメとも違う淡い夢のような映像で思い出す。声はほぼ蒼井優ひとりに助けられている感じ。
『花とアリス』の前日譚。を、もう歳をとって実写での映像化は不可能になってしまった蒼井優と鈴木杏を声優に使ったアニメで実現。そのアニメも実写をトレースしてアニメ化する「ロトスコープ」という技術を使ったそうで、影のないシンプルな人物が滑らかに動く不思議な映像が、岩井俊二の描く現実感の薄い映像観に上手くはまったと思う。
物語が動き出すのは花とアリスが出会ってから。このふたりの何気ない、幼くバカでストレートなやり取りが、子供の頃に友達と遊んだ記憶を懐かしく思い出させる。
内容はちゃんと殺人事件だし、知らないおじさんとブランコに揺られる姿に何故だか涙が出そうになるし、エンジンの温もりを試したくなるし、この説明だけでは何を言ってるか分からないだろうし、実際このふたりはいったい何をしてるんだ?って何度も突っ込みながら見ることになるけれど、なんだかそんなひとつひとつのエピソードが愛おしく思えてくるから不思議。
人生なんて映画みたいに筋道立っていないんだもの。でもそんなバラバラなひとつひとつで思い出は作られ、人間が作られ、繋がりが生まれていくんだなって、なんかいいなって思った。
『マイ・インターン(2015年)』
★★★★
お洒落で楽しくて前向きになれる、元気の出る映画。アンとデ・ニーロの演技がとにかく素敵で、この二人のやり取りを観ているだけで楽しい、というかずっと観ていたいくらい。ベンのように言うべきことだけを言うべき時に言える大人になりたい。
デ・ニーロ可愛いなぁ。そして大人だなぁ。去年何冊か読んだ宮本輝の小説でも感じたけれど、分別と教養のある大人にならなきゃって、自分なんてまだまだ人生のひよっこだなって、物語を楽しみつつも反省しちゃう。とはいえ、決して説教的な話ではなく、純粋にアンとデ・ニーロのやり取りを楽しめば、それだけで十分おつりがくる。とにかくもういろんな意味でお洒落で素敵で、観た後は最高の気分。
『海街diary(2015年)』
★★★★
diaryだから大きな事件は起こらない。それでもコントラストを抑えた淡く柔らかな鎌倉の景色の中、映像と同じ色調で丁寧に描かれる4姉妹の抱える思いに目を離す隙はない。それぞれの役作りも良し。個性豊かな美人揃いだけはリアリティなしw
白飛びなんてなんのそのでギリギリまで淡く落とした是枝裕和らしい色調の美しさが特徴。映像と物語の起伏との雰囲気が合ってるのって大切だなって思った。
そんなわけで物語は穏やかで大きな起伏はないけれど、4姉妹の振る舞いがとにかく自然で、それぞれに魅力があって、それぞれに抱える過去を感じさせて、こうした演技の細やかさも好き。この愛おしい映像の世界にずっと浸っていたい。
回想シーンなしで、4人それぞれの過去を見事に描き出す構成が上手い。
ということで、公開年はバラバラですが、以上が2016年に観た映画の中で印象に残った10選です。一昨年、去年に引き続き、今年も観たのは年間にちょうど100本。これがなんとかクリアできるマックスの目標値だなぁ。今年はここ数年で一番忙しくなりそうだけど、楽しい映画にたくさん出会えるといいな♪
- 2016年に公開された映画ではなく、僕が2016年に観た映画です。基本的にはDVD、Blu-ray、またはネット経由でのオンデマンド配信による自宅鑑賞です。(各タイトルの右にあるのが公開年)
- いい映画ベスト10というよりは、印象に残った映画ベスト10です。
- それぞれ上部の太字部分が「140文字映画レビュー」からの転載。下部は今回加筆したコメントです。
- 一部ネタバレもあります。未鑑賞の方はご注意ください。
- ★は5つ星での評価です。詳細はこちらを参照してください。
それでは今年もレッツ スタート!!
『ミツバチのささやき(1973年)』
★★★
真の価値である作品が象徴する政権批判の意図を読み取る力はないが、黒い画面の中に蜜色に浮かぶ、完璧な構図で額縁に収まった、まるで絵画のような映像だけで十分以上の価値を感じる。そして青く光る汚れのないアナの目の白さに惹き込まれる。
面白いとか面白くないとかそんなことは関係なく、レンブラントを思わせる絵画的な映像がとにかく素晴らしい。深く沈む黒の中に浮かぶ魅惑的な蜂蜜色。そしてこれもまた絵画のようなアナの無垢な美しさ。この映像を観ているだけで、心は満たされる。
『ONCE ダブリンの街角で(2007年)』
★★★
特に後半は9割くらいを歌が占め、ほぼMV状態。手持ちのグラグラや望遠で盗み見る映像には撮影者の息づかいを感じる。とはいえ雰囲気は抜群。音楽の力の表現も上手い。ダブリンの街にそっと消え行く結末も良し。掃除機デートしたい。
『はじまりのうた(2013年)』
★★★
頭の中で音楽が色づいていく面白さ、街の息吹の中でのゲリラレコーディングの興奮、アレンジで変わる音楽の繊細さ、音楽を分け合う楽しさ。音楽の魅力がいっぱい。どん底で出会った二人が妙な恋愛状態にならないのも良し。爽快な結末が気分良し。
これは2作をまとめてひとつ。内容的にはどちらも同じようなものだし、映画として物語が面白いかと聞かれれば、ぶっちゃけ「はい」とは言い切れない。それでも音楽と映像のマッチングのセンスが素晴らしいから、どちらも幸福感と高揚感に包まれたひと時を過ごすことができる。ほんと、音楽で通じ合える人たちって羨ましい。
『ザ・ウォーク(2015年)』
★★★★
自分の手がこんなに汗をかくとは知らなかった。映画を観ていて目をつぶりたくなったのは初めて。怖さと興奮と冒険心が混ざり合う、こんな感情も初めての経験。今の技術あってこそのリアルな映像。渡る気持ちは全く理解できないが確かにアートかも。
軽い高所恐怖症の自分にとって、これほど怖くて興奮して、それでいてワクワクする経験は初めて。でもやっぱり一番強く感じるのは恐怖心。自分でも驚くくらいに手に汗をかいていて、ああこれが「手に汗握る」ということなんだと実感した。ほんとにほんとの高所恐怖症の人が見続けるのは無理だと思うから気を付けて。
『メメント(2000年)』
★★★★
観る側が頭を使って真剣に取り組む必要はあるが、このアイデアを、ちゃんと魅せる映画として成り立たせた頭脳とセンスはやっぱりすごい。タトゥーのビジュアルも素敵。ナタリーを見て女は怖いと思い、一方でサミーの奥さんを見て胸を締め付けられる。
改めて今観ても、当時と同じ驚きを感じちゃうんだからすごい。このアイデアと構成は見事としか言いようがない。切れ目のない緊張感で、宇宙船のドッキングだけであそこまで盛り上げちゃうある種の力技を持つ最近のノーラン作品より、こっちの方がずっと好き。ビジュアルもアングラ感があって魅力的。
『ファンタスティック・プラネット(1973年)』
★★★
ぶっちゃけな感想は薄気味悪い。が、不可思議な生物たちや宇宙人の生態が生み出す独特で強烈な世界観、日本人では生み出し得ない美術的センスには驚嘆せざるを得ない。絵本が動くような切り絵アニメーションの映像も素晴らしい。
なんだかとんでもないよ、この作品。1973年製作の切り絵アニメーションらしいんだけど、とにかくビジュアルが独特すぎる。子供が見たらトラウマになるレベル。でもとにかく凄い。これはかなりの確率でクセになる。この作品、「人間凄い」「戦ってもいいことないから和平しよう」という結末なんだけど、こういう感覚って西洋っぽいというか、昔っぽいなぁ。今だったら、お互い必要な存在だから尊重し合おうとか、同じ星で暮らすもの同士仲良くしようとか、そういう方向で締めそう。
『きみはいい子(2015年)』
★★★★★
涙腺崩壊映画。泣かせるためでなく気付かせるための涙。何かが心の中に満ちる涙。抱きしめること、抱きしめられることの大切さ。傷つけるのも救うのも人。「きみ」は子供だけじゃない。唐突に終わる物語を続けるのは私たち。まだ涙が止まらない。
これはね、ほんとみんな観た方がいいよ。同時進行する3つの話それぞれに直視し難い問題があるから観るのが辛くもあるけれど、だけど、それぞれに希望の兆しが描かれているから、単なる苦しい映画では終わらないはず。そして大切な人たちを抱きしめたくなるはず。
演技は尾野真千子、池脇千鶴、喜多道枝の女性3人が素晴らしい。特に、クライマックスで尾野に救いを与え、それまでの印象を一変させた池脇はさすがの一言。このシーンの重さと深さと慈しみは、とてつもなく大きい。
富田靖子が救われて涙するシーンも、ひとつのクライマックス。
そして、「頑張って」の何というパワー。
順番としてはこの3つのキーとなるシーンが逆に進むわけだけど、だんだんと感情を高ぶらせていく手順が上手い。
物語が始まってしばらくは、演技や映像に何となく現実感のないような不思議なぎこちなさを感じるけれど、それも中盤まで。敢えて感情を抑え込むための演出なのかも。
終盤は演技とドキュメンタリーとファンタジーが同居するために若干困惑するけれど、それもまあ許容範囲。
とにかく、みんなが観て、ぎゅっと抱きしめて、そして世界を平和にしよう!
『レオン(1994年)』
★★★★★
非現実的な設定の中で楽しむ物語としてひとつの完成系。映画としての甘さはあろうと、最初から最後まで弛むことないかっこよさと切なさと愛おしさの前では何ら問題にならない。主演3人のキャラと演技も文句の付けようなし。キーアイテムがどれも素敵。
これもメメント以上に古い作品だけど、観直してみたら、なんとまぁ面白いことか。かっこいいし微笑ましいし泣けるし切ないし、いろんな感情を織り交ぜた娯楽作として文句の付けようがない。ミルクと観葉植物とニット帽とサングランスとロングコート。愛すべきキーアイテムの数々がまたニクい。エンディングのスティングの流れ出すタイミングが、これまた完璧すぎてゾクゾクする。そしてもちろん、主演3人の演技も素晴らしい。
『花とアリス殺人事件(2015年)』
★★★★
なんかいいなこれ。意外にも何をしてるの?何をしでかしちゃってるの君たちは?というコメディ感が強いけど、そのバカな青春の幸せさを、実写ともアニメとも違う淡い夢のような映像で思い出す。声はほぼ蒼井優ひとりに助けられている感じ。
『花とアリス』の前日譚。を、もう歳をとって実写での映像化は不可能になってしまった蒼井優と鈴木杏を声優に使ったアニメで実現。そのアニメも実写をトレースしてアニメ化する「ロトスコープ」という技術を使ったそうで、影のないシンプルな人物が滑らかに動く不思議な映像が、岩井俊二の描く現実感の薄い映像観に上手くはまったと思う。
物語が動き出すのは花とアリスが出会ってから。このふたりの何気ない、幼くバカでストレートなやり取りが、子供の頃に友達と遊んだ記憶を懐かしく思い出させる。
内容はちゃんと殺人事件だし、知らないおじさんとブランコに揺られる姿に何故だか涙が出そうになるし、エンジンの温もりを試したくなるし、この説明だけでは何を言ってるか分からないだろうし、実際このふたりはいったい何をしてるんだ?って何度も突っ込みながら見ることになるけれど、なんだかそんなひとつひとつのエピソードが愛おしく思えてくるから不思議。
人生なんて映画みたいに筋道立っていないんだもの。でもそんなバラバラなひとつひとつで思い出は作られ、人間が作られ、繋がりが生まれていくんだなって、なんかいいなって思った。
『マイ・インターン(2015年)』
★★★★
お洒落で楽しくて前向きになれる、元気の出る映画。アンとデ・ニーロの演技がとにかく素敵で、この二人のやり取りを観ているだけで楽しい、というかずっと観ていたいくらい。ベンのように言うべきことだけを言うべき時に言える大人になりたい。
デ・ニーロ可愛いなぁ。そして大人だなぁ。去年何冊か読んだ宮本輝の小説でも感じたけれど、分別と教養のある大人にならなきゃって、自分なんてまだまだ人生のひよっこだなって、物語を楽しみつつも反省しちゃう。とはいえ、決して説教的な話ではなく、純粋にアンとデ・ニーロのやり取りを楽しめば、それだけで十分おつりがくる。とにかくもういろんな意味でお洒落で素敵で、観た後は最高の気分。
『海街diary(2015年)』
★★★★
diaryだから大きな事件は起こらない。それでもコントラストを抑えた淡く柔らかな鎌倉の景色の中、映像と同じ色調で丁寧に描かれる4姉妹の抱える思いに目を離す隙はない。それぞれの役作りも良し。個性豊かな美人揃いだけはリアリティなしw
白飛びなんてなんのそのでギリギリまで淡く落とした是枝裕和らしい色調の美しさが特徴。映像と物語の起伏との雰囲気が合ってるのって大切だなって思った。
そんなわけで物語は穏やかで大きな起伏はないけれど、4姉妹の振る舞いがとにかく自然で、それぞれに魅力があって、それぞれに抱える過去を感じさせて、こうした演技の細やかさも好き。この愛おしい映像の世界にずっと浸っていたい。
回想シーンなしで、4人それぞれの過去を見事に描き出す構成が上手い。
ということで、公開年はバラバラですが、以上が2016年に観た映画の中で印象に残った10選です。一昨年、去年に引き続き、今年も観たのは年間にちょうど100本。これがなんとかクリアできるマックスの目標値だなぁ。今年はここ数年で一番忙しくなりそうだけど、楽しい映画にたくさん出会えるといいな♪
(おしまい)
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